夏いちごの栽培に、強力な追い風が吹いてきました。ケーキ業界を中心に国産を希求しているからです。熱い視線の先には、新品種の夏実があるようです。30年以上も昔、各地を飛び回り産地づくりから始めた夏いちごへの深い思い入れが、今夏実への期待へとつながっていく思いがしています。



4年前の1999年6月頃だったと思います。北海道の株式会社北海三共(三共製薬の子会社)のバイオ事業部の担当課長が来社され、HS138を東京の市場で販売をしたいので手伝ってくれないかと相談を受けました。早速、札幌近郊の北広島に飛び、南の里のハウスで本格定植された最初の「夏実」に出会いました。話で聞いていたより果皮が綺麗で光沢があり、味も香りもそこそこ、夏の苺にしては「これはいける」と大いに興味をもったのでした。



この間北海道からは、ペチカがいち早くマーケット作りに参入し、やや先行馬の形でリードした事は、各地に刺激を与えました。そして再び本州の高冷地へと伝播して来て、本格的な「夏いちごの競争」の開幕という形となって来たのが、只今現在の状況です。
北海道は立地的に高冷地の条件を満たしているので、当然の様にペチカ、夏娘、夏実も北海道中心に、栽培が拡大して来ていますが、本州、四国、九州にも1000mを超える高冷地は各地にあり、それぞれ、その土地に向く品種の開発・普及の波が拡がりつつあります。 例えば、「長野の南農1号(サマープリンセス)」「山梨、長野のエラン・カラン」「徳島のスイートチャーミー」「奈良のサマーベリー」「宮城の雷峰」等々、皆小規模ながら頑張って作っていますが、今一つ伸び切れない。
むしろ今、北海道のペチカ、夏娘、夏実が、内地の適地を求めて盛んに各地で試験定植を始めています。夏実は昨年、長野・愛知・岐阜で試験定植を行い、明るい可能性が見えて来ました。この様な各地の動きは、大きな目で見て非常に良い事なのです。マーケットがワイドになり総需要を増進させる事、即ち相乗効果に繋がるからです。輸入苺が年々日本のケーキメーカーのニーズに合わなくなってきている現状では、国産に本腰を入れるチャンス到来と云わなければなりません。しかしながら、この20年余り輸入いちごが夏の業務用ニーズに応えてきたことが、現在の日本の夏いちごマーケットの土台を作り上げたことは事実です。


今年で4年目を迎えたHS138夏実を販売している立場から、他品種と比較して長所・短所を5段階評価してみます。
(徳島・香川・奈良の品種は取扱っていません。)

品種 外見 硬さ 光沢(艶) 平均サイズ 糖度 香り 旨さ 合計
HS138夏実 4 4 5 4 4 3 3 5 4 36
ペチカ 3 4 3 4 3 5 4 3 4 33
夏娘 3 4 3 4 3 5 4 3 4 33
サマープリンセス 5 5 2 5 5 4 3 4 3 36
雷峰 3 4 5 3 3 4 3 2 3 30
エラン・カラン 4 4 3 4 3 3 3 3 3 30

※ 本年は更に長野で2ケ所と新規に岩手北上市にも拡大定植致しました。

総合評価ではサマープリンセスとHS138がペチカ・夏娘より優りますが、サマープリンセスは果肉が軟らかいのが決定的にマイナスですから、HS138夏実が現在最も市場評価が高い事になります。但しこの比較には収量のボリューム評価は入っていません  

 

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